家族そっくりの声を信じて銀行振込をした後、なりすましだと分かった。相手へ電話して問い詰めるべきか、銀行の処理を待つべきか迷っていませんか。
結論は、相手との会話を止め、直ちに「振込先口座のある金融機関」と「警察」へ連絡することです。 全国銀行協会は、振込を依頼した銀行ではなく振込先口座のある銀行へ被害を伝え、警察にも届け出るよう案内しています。金融庁も、警察と振込先金融機関への連絡を案内しています。
早く連絡しても全額が戻るとは限りません。しかし、相手と話し続けたり、家族内で責任を追及したりして時間を使うより、口座の利用停止と被害届出につながる連絡を優先してください。
最初にする3つのこと
1. 追加の支払いと連絡を止める
「返金するための手数料」「口座解除費用」「弁護士費用」などを求められても支払いません。相手から送られたURLや電話番号は、銀行・警察の連絡先として使わないでください。
メッセージや通話履歴は削除せず、通知を切る、着信を拒否するなど、証拠を残したまま接触を止めます。身体への危害など差し迫った危険がある場合は、緊急通報を優先します。
2. 振込先金融機関へ連絡する
全国銀行協会の振込先銀行の連絡先一覧から、振込先口座の銀行を確認します。検索広告、相手のメッセージ、着信履歴の番号ではなく、銀行の公式サイトまたは全国銀行協会の一覧を使います。
連絡時は「振り込め詐欺等の被害を受け、この銀行の口座へ資金を振り込んだ」と伝えます。自分が振込を依頼した銀行にも取引記録や対応可否を確認できますが、振込先銀行への連絡を後回しにしません。
3. 警察へ届け出る
最寄りの警察署または警察相談専用電話 #9110 へ相談します。金融機関への連絡と警察への届出は、どちらか一方で済ませません。消費者としての相談先が分からない場合は、消費者ホットライン 188 も利用できます。
連絡前に5分でまとめる記録
すべてそろうまで連絡を待たず、分かる範囲で次を一枚にまとめます。
| 項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 振込 | 日時、金額、振込方法、取引番号 |
| 振込先 | 銀行名、支店名、口座種別、口座番号、名義 |
| 相手 | 表示された電話番号、アカウント名、名乗った人物・組織 |
| 要求 | 事故、逮捕、入院などの説明、送金理由、口止めの内容 |
| 証拠 | 通話履歴、メッセージ、振込明細、領収書、画面のスクリーンショット |
録音がなくても相談できます。思い出そうとして相手へかけ直したり、新しい証拠を得るために会話を続けたりしないでください。
振り込め詐欺救済法で知っておくこと
金融庁によると、預金口座等への振込が使われた詐欺では、振込先口座に残っているお金から被害回復分配金が支払われる可能性があります。
ただし、次の限界があります。
- 犯人が口座から引き出した後の資金まで国や銀行が補填する制度ではない
- 複数の被害者がいる場合、口座残高を被害額に応じて分けることがある
- 全額が支払われない、または支払がない場合がある
- 公告後の申請期間内に手続が必要になる
「連絡すれば必ず戻る」とは言えません。一方で、残高があるうちに口座の利用停止へつなげるため、直ちに連絡する意味があります。振込先金融機関へ被害を申し出た後は、申請期間や必要書類をその金融機関へ確認してください。
銀行振込以外は連絡先が変わる
この記事の主対象は預金口座への銀行振込です。暗号資産、ギフトカード、コード決済、現金手渡しの場合は、同じ救済法の手続をそのまま当てはめられません。警察へ相談するとともに、利用した取引所、カード発行会社、決済サービスの公式窓口へ直ちに連絡してください。
いずれの支払方法でも、相手が送った連絡先や「返金代行」を名乗る業者を使わず、公式サイト・公式アプリから窓口を確認します。
家族内の責任追及は初動の後にする
AI音声や緊急性を使う詐欺は、考える時間と相談相手を奪います。被害直後に「なぜ信じたのか」と責めると、情報共有が遅れ、追加被害を隠す原因にもなります。
まず金融機関と警察へ連絡し、証拠を保存する。その後で、AI音声詐欺から家族を守る事前ルールを使い、保存済み番号への折り返しと第二連絡先を決め直してください。
まだ送金しておらず、電話が本物か迷っている段階なら、AI音声詐欺の見分け方へ戻り、電話を切って別経路で確認します。
結論:相手ではなく、金融機関と警察へ連絡する
銀行振込後の最優先は、AI音声だったかを証明することではありません。追加送金を止め、振込先金融機関と警察へ連絡し、振込情報と連絡履歴を残すことです。
被害回復は個別状況で異なり、全額返金の保証はありません。それでも、時間を空けず公式窓口へ被害を伝えることが、口座の利用停止とその後の手続につながります。





